築年数20年の壁?

不動産売却のタイミングについて

リビングのイメージ写真。中古住宅の売却を意識した明るい室内
写真はイメージです。実際の物件とは異なります。

「マイホームを売却したいけど、築20年を過ぎると価格が下がるって本当?」
「家を売るなら、築何年がベストなタイミングなんだろう?」

不動産売却を検討する際、多くの人が「築20年の壁」という言葉を耳にします。これは、建物の価値が大きく下がるひとつの目安とされているからです。今回は、この築20年の壁の理由と、売却のベストなタイミングについて解説します。

築20年の壁が生まれる理由

築20年を境に、建物の価値が大きく下がる傾向には、いくつかの理由があります。

築年数と建物価値のイメージ 築0年から20年付近で下落が目立ち、その後は緩やかに推移する概念図 0 25 50 75 100(価値) 0年 5年 10年 15年 20年 25年+ 築20年前後 ローン審査・耐用年数・設備更新時期が重なり 価格交渉が厳しくなりがち
図1:築年数と建物価値の概念図(実勢価格を保証するものではありません)

1. 住宅ローンの借入期間

多くの金融機関では、中古住宅を担保にする際、建物の価値を評価します。特に木造住宅の場合、構造体の耐用年数(法定耐用年数)が22年とされるため、築20年を超えるとローンの審査が厳しくなる傾向があります。

2. 買主の心理

築浅と比べると「リフォーム費用がかかりそう」「設備が古いかも」という不安を抱かれやすくなります。下記の3要素が代表例です。

設備の老朽

給湯器・水回り・配線などの更新費用が読みにくい

構造への不安

耐震補強や雨漏り等の潜在リスクを気にしやすい

将来費用

入居後に発生する修繕・交換コストの読みづらさ

このため、買い手がなかなか見つからなかったり、価格を大幅に下げないと売却できないという事態になることも少なくありません。

水回りのビフォーアフター例(イメージ)
写真はイメージ(ビフォーアフター)。実際の工事内容・費用は個別に異なります。

売却のベストタイミングとは?

築年数だけが売却価格を決める唯一の要因ではありません。しかし、一般的には築浅のうちに売却することで、より高い価格で売れる可能性が高まります。

売却検討タイムライン 築5〜10年、10〜15年、20年以降のそれぞれで有効な施策の例 0年 5年 10年 15年 20年+ 築5〜10年 売却しやすい時期 軽微な手直し+美観強化 築10〜15年 水回り・内装の更新で加点 点検記録の提示が有効 築20年以降 メンテ履歴で不安解消 価格戦略と情報開示
図2:築年数帯ごとの検討ポイント(概念図)
売却準備の3つのコツ:
  • 点検・修繕の記録(領収書・写真)を整理して一括提示
  • インスペクション(住宅診断)や瑕疵保険の活用を検討
  • 近隣成約事例を踏まえた客観的な価格設定

築年数だけでなく、建物のコンディションや市場の動向も考慮して、売却のタイミングを見極めることが大切です。

鍵と契約書のイメージ。売却成約の象徴
最後は「情報の信頼性」と「買い手の不安解消」が決め手になります。